『パンドラのびっくり箱』 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
概要 |
同メーカーから発売済みの『パンドラの夢』のファンディスク。 「真のエンディングがここにある」と銘打たれた、唯人とスウの数年後を描いた『夢-Yuito,s Fulfilled Dream-』と、本編中にはなかったハーレムルート『極楽』が新たなシナリオとして追加されています。 他にもユーザーからのSSを多数収録していて、大賞受賞作品はなんとゲーム化されています。 また、ミニゲームとしてどんじゃら風味の「じゃらじゃらパンドラ」と、ACTゲーム「パンドラシスターズ」も同梱されていたり、これまたユーザーから投稿されたCGを多数掲載しています。 更に、通常は別売り扱いのサントラCD『楽園の天使』も同梱されています。実売価格が5000円程度という事をを考えると、お得なパッケージなんじゃないでしょうか。 |
シナリオ1 『夢-Yuito,s Fulfilled Dream』 70点 |
まず、大前提として断っておかなければならないコトがひとつあります。基本的にこの物語は『パンドラの夢』のエンディング後の物語という位置付けなので、『パンドラの夢』をやっていない方や最後までクリアしていない方にはオススメできません。シナリオ自体が前作のEDと密接な繋がりがあるっていうのもあるんですが、前作のEDを見ているor見ていないとで感情移入度が激しく違うかと思います。ということで、『4000日もの間』というフレーズを聞いてピンと来ない方は、先に『パンドラの夢』クリアすることをお奨めします。 まあ、本編をやらないでファンディスクのみをやるっていう方もそうそういないとは思いますが、一応念のため(;^_^。 『パンドラの夢』の衝撃のラストから数年後------------。アンドロイド工学への道へ進み、数年越しの努力と想いが実を結んでスウを目覚めさせた唯人と、それまでの『想い出』を一切失ったスウ。唯人はスウの記憶を呼び覚まそうとするが・・・。という感じのお話です。 完結したハズの物語に更に新たにエンディングを付け足すというのは私的にイマヒトツ釈然としないものはあるのですが、前作のラストが悲恋的かつ焦燥感が漂う結末で、ある意味『スウへの思い入れに比例して受け入れ難いED』だっただけに、真のエンディングと謳うこのシナリオにハッピーエンドを期待して購入を決意した方は結構多いんじゃないでしょうか。というか、じつは私がそうだったりするんですが(;^_^;。 プレイ時間は1〜2時間程度とちょっと短めです。それと、このシナリオは基本的には一本道で、エンディングは一種類のみです。まあ、「真のエンディング」とか言ってるのに複数のエンディングを用意されても困るので、コレはコレで由しです(;^_^;。 シナリオの感想ですが、太鼓判を押せる程の出来ではないものの、結構良い出来なんじゃないかぁと思います。『4000日の出来事』がベースになっている事に加え、主な登場人物が唯人とスウのふたりだけなので(陽詩美、蘭、永源寺先輩はこのシナリオではチョイ役です)ストーリーは若干重め------------というか切ない感じです。 また、テキスト量とかボリューム自体は少ないのですが、余分な伏線を張らずに、テーマを「失われたスウの『想い出』のゆくえ』ひとつに絞っているので、あれこれ考えずに素直に物語を楽しむことが出来ました。 各キャラクターの心情なんかもしっかりと描かれているし、表現の仕方ががストレートなので分かりやすくて良いですね。私的には物語後半の雷雨が降り注ぐ夜の校舎で唯人とスウが二人きりでいるシーンからの一連の流れはかなりお気に入りです。唯人のなだれ込むような感情の変化の描写なんかはかなり心打つものがあると思うのですが。≪「絶望が雨の中を駆け抜けて行った------------」っていうフレーズはこれ以上ないくらいに場面にマッチしたセリフだと思うのですが。激しい雷雨の中、ズブ濡れのスウを車に乗せ、圧倒的な後悔とわずかばかりの希望が入り乱れる中で失踪する唯人の姿が、この文章ひとつの中に凝縮されているような印象を受けました。・・・思い込み過ぎ?≫ また、ゲーム中何度かスウの視点で物語が語られる事があるのですが(通常は唯人の視点で語られます)、記憶を失くしたスウが何を考えているかが分かりやすく伝えられていて良いんじゃないでしょうか。ふたつの視点で物語が進行するので、ストーリーに厚みが出てきますし(^O^)。 とまあ、後半までの流れはかなり良い出来なんですが、後半からラストへの展開が・・・・・・脈絡に欠けるというかイキナリ過ぎるような気がするというか何と言うか(汗。 前作とは対照的なハッピーエンドな結末を迎えるのですが、そこに至るまでの説明がちょっと不足気味なんじゃないかなぁと感じましいました・・・。それと、極めて私的な意見かとは思うのですが、≪私的にはハッピーエンド至上主義なので(場合にもよりますが)今回のEDは「スウと唯人が幸せなので良しっ」という結論に達したのですが、これだと結果的に前作のEDが稀薄になってしまうんじゃないでしょうか・・・? 〜〜〜「真のエンディング」とか言ってるのに複数のエンディングを用意されても困るので〜〜〜というコトを前述しましたが、欲を言えば前作のEDの雰囲気を維持しつつもプレイヤーを唸らせるくらいの脚色をした「真のエンディング」を見たかったなあ、と思ってみたり(;^_^;。≫ まあ、全体としては結構楽しめましたし、最後にスウの幸せな笑顔も見れるので良しとします(^O^)。 |
シナリオ2 『極楽』 70点 |
『夢-Yuito,s Fulfilled Dream』が終始シリアスなのとは対照的に、こっちはギャグとえちぃのオンパレードです。 楽しい合宿の再現という設定なのですが、一発芸大会や王様ゲームが異様なくらいのハイテンションで進行していくので、かなり笑えました。先ほどのシナリオではチョイ役だった陽詩美、蘭、永源寺先輩も大活躍です。私的には特に蘭のハジケっぷりが見事というか何というか(;^_^;。 ギャグパートでひとしきり笑かしてくれた後は、本編中ではなかった『ハーレムルート』というかえちぃお話に突入するんですが、内容ととしては『陽詩美、蘭、先輩の3人でご奉仕が1回』。『お風呂場で3人と・・・』。『スウと温室で・・・』というのが1回。合計3回とファンディスクにしては多い方なんじゃないでしょうか。実用に耐えうるかどうかは微妙なトコですが、私的にはちゅぱ音もあるので良いかな(ぇ。 |
じゃらじゃらパンドラ 50点 |
収録されているミニゲームのひとつ。『パンドラの夢』版ドンジャラと言えば分かるでしょうか。・・・ドンジャラってあまりメジャーな遊びではないような気はするんですが、ルール自体は割と簡単ですし、マニュアルもあるので初心者の方でもプレイする分には問題ないと思います。 モードは『ストーリーモード』と『フリーモード』の2種類があって、ストーリーモードは最後まで勝ち抜くとHシーンが見れます。但し、音声は入るもののCGは各キャラ毎に一枚のみなのでちょっと寂しいですね(;^_^;。 フリーモードは、プレイヤーと対戦相手のどちらかの持ち点が無くなるまでひたすらにドンジャラで勝負し続けます。また、難易度設定も登載されてます。 ところでこのドンジャラですが、どういうワケか難易度が大分高いような気がするんですが(汗。 私はイージーモードでやっていたのですが、HCGを拝むまでにかなりの回数リトライしてました。イージーに設定してあるハズの対戦者が3順目でリーチ。5順目でツモといったゲーム内容が何度かありました。アレをイージーと感じる腕前というのは如何ほどの熟練者なのでしょうか(;^_^;。 ちなみに、初期キャラクターの『陽詩美、蘭、永源寺先輩』の3人をストーリーモードで負かすと、対戦相手にスウが追加されます。こちらもストーリーモードで負かすとHCGが見れるようになってます。それと、私は確かめていないのですが、フリーモードで陽詩美に5回くらい勝つと春華が対戦相手として登場するようです。 |
パンドラシスターズ 50点 |
収録されているミニゲームのひとつ。パンドラの夢の登場キャラによる『面クリア型対戦アクションSTG』といった感じです。 いちおうキーボードでもプレイ出来るのですが(Z:ショット,X:ジャンプ,←→キーで左右に移動)、私はキーボードよりもゲームパッドの方が遥かにやり易かったです。というかキーボードでのプレイは慣れないと相当キツイです(汗。 陽詩美、蘭、スウ、春華、永源寺先輩の5人のキャラの中からプレイヤーキャラを一人選び、全20ステージを勝ち抜いていきます。各キャラクターはいずれも各々に特徴のある武器を使うので、多少は戦略的な楽しみ方が出来るんじゃないでしょうか。ただし、ゲームの性質上「相手の攻撃を出来るだけ避けてこちらの攻撃をブチかます」といった感じなワンパターンな戦術に陥りやすいく、結果として飽きが早そうなので、中毒性はあまり無いと思います。むしろじゃらじゃらパンドラの方が中毒性は高いかも。 |
えとせとら |
ユーザー投稿のCGやSSや、デスクトップを飾るアクセサリとして、パンドラクロック、システムボイス、壁紙が収録されています。 ・『ユーザー投稿CG』 全部で25枚のCGが収録されています。「これはッ!」と唸ってしまうような笑えるCGなんかもありますねー。 ・『ユーザー投稿SS』 大賞作品がひとつ。その他に入賞作品が17点収録されています。又、大賞作品となる「PNイットロード」さんの作品はゲーム化されています。ユーザー投稿のシナリオが公式にゲーム化されるっていうのはあまり見たコトがないかも・・・。 ゲーム化されたシナリオですが・・・・・・素人目で判断しても結構上手いと思います。『パンドラの夢』のED直後のお話なんですが、既存の作品の雰囲気を壊すことなく、他人が書いたシナリオの続きを破綻することなく書けるってのは実は結構凄いコトなのでわ。 ・『パンドラクロック』 『パンドラの夢』のキャラを使用した時計です。って、まんまだ・・・。いちおう本編に登場した女性キャラクター全てのキャラが使用されてますね。機能としては、クロック起動時や、各キャラのCGをクリックした時にキャラクター毎にコメントを喋ってくれます。ムネばっかりさわんないよーに(笑)。 それと、時報の役割も果たしてくれますね。っていうかそれ以外の機能はたぶん無いってコトを考えると実用的ではないのですが、まあ、ファンアイテムなので良いのでは(笑)。 ・『システムボイス』 インストールすると、『パンドラの夢』のOSのシステムボイスを喋ってくれるようになります。OS起動時に「ういんどうず、起動お〜」とか喋ってくれたりするアレです。お気に入りのキャラの声とかお目当ての声優さんの声で是非ともPCを動かしたいはやる価値はあるかと(笑)。あ、あと、どこかをクリックする度に「むかぴ」とか喋って欲しい人にもオススメ。 ・『壁紙』 『パンドラの夢』の女性キャラクター達の(おそらく書きおろし)壁紙用CGが8点収録されています。内容的には『陽詩美、蘭、永源寺先輩・春華・櫻・』が各一枚ずつ。スウのみ3枚あります。基本的にはどのキャラも半脱ぎ状態なのは良いのですが(ぇ、 これを壁紙にするというのは一般家庭ではちょっと勇気がいるぞっっっっっ。というか櫻様に至っては一糸纏わぬ御姿なのですが(;^_^;。 ちなみに、一見するとインストールしないと壁紙の全景が見えないような仕様になっていますが、実は『パンドラのびっくり箱』がインストールされているフォルダの中に壁紙データがちゃんとありますので、インストールの前に参考にするのも良いかも。 |
音楽 90点 |
音楽は基本的には前作の使い回しなのですが、いずれも雰囲気の良いBGMばかりですね。また、パンドラシスターズのラストステージ用に新しい曲が収録されていますが・・・・・・どっかで聴いたようなクラシックの曲です。私的には著作権問題とかが気になるのですが、たぶん著作権の有効期限の過ぎた曲を使用しているかオリジナルアレンジを施しているんじゃないかと思います。たぶん(汗。 それと、バトルテーマ(?)の時に流れるBGMですが(プレイディスクをメディアプレイヤー等で再生した時のトラック13の曲)、曲の中盤くらいからちょっとしたミニドラマが入ってます。おそらくサントラから流用したものだと思うのですが、ゲーム中のセリフと重なって音声が聴き難くなってしまいます(汗。 曲を単体として聴くなら面白いんですが(;^_^;。 それと、Hシーンの時に掛かる曲の、あの吐息はちょっと・・・(;^_^;。 |
CG 85点 |
原画は大野哲也さん。 この業界では知らない人の方が少ないんじゃないかっていうくらいに有名人なのかな・・・? 個性的なCGですが、ぷにぷにとしたやわらかそうな質感の女性キャラは私的にかなり好みです(爆)。塗りがパステル調なのも良いですね。ただ、一部のHシーンではキャラの顔が妙に縦長くなってしまってたのがちょいと気になりましたが、その他は概ね綺麗なんじゃないでしょうか。 |
システム 80点 |
画面サイズの変更、BGMや音声、効果音の音量調整やオン・オフ。テキストのスキップや自動進行機能、セーブとロード。という具合に、シナリオを読み進めるADVパートに必要な機能は一通り揃ってます。また、いたるところで見受けられる画面のエフェクト効果なんかも、若干システムを重くしている要因となる気もしますが、綺麗で良いんと思います。 ミニゲームの操作方法も、『じゃらじゃらパンドラ』でセーブとロードが出来ないということを除けば、特筆した問題点はありません。 |
総合評価 75点 |
シナリオ1『夢-Yuito,s Fulfilled Dream』はツメが若干甘いですが、その他に関しては、テキストも読みやすいし、シナリオも概ね良く出来てると思います。 シナリオ2『極楽』は、ひたすらに笑わせてもらったので結構満足です。欲を言えば、皆でご奉仕の時にスウや櫻様、春華も混ざってくれれば尚良かったのですが(;^_^;。 2種類のミニゲームも意外と遊び応えがあって良かったです。 総合評価としては、ファンディスクとしては結構良い出来だと思います。 |
お気に入りキャラ |
スウ、蘭、櫻様(主に声が(ぇ。 |